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しばらくして、1時間目の授業が始まった。
とは言っても、この日は入学して次の日というのもあって、授業らしいものではなく、
簡単に言えば、LHR(ロングホームルーム)のような物だ。
1時間目は、自己紹介をするらしい。項目は、「自分の名前」・「趣味」・「得意科目」・「なにか一言」そして、「好きな食べ物」の5つ。
とりあえずごく普通の内容だ。
クラスのみんなが順番に自己紹介をしていくらしい。
「って、あれ?外川先生はどうしたんですか?」
そこにいるはずの外川はおらず、代わりに知らない老人が立っていた。
「今日は外川先生は、風邪でお休みの連絡が入っておるぞ」
「あの今時学園ドラマでも珍しいような熱血教師風の天然記念物が風邪で休みなんて。ふふ」
「……お~い、戻ってこ~い」
トリップしてしまったらしい美奈を、クラスメイトその1が呼び戻す。
「では、まずは相沢かなえさん。張り切ってどうぞ!」
今そういった先生(仮)は、65歳なのだそうだ。
「先生、仮装大賞っすか?」
ある男子の一言をきっかけに、窓際から笑いのウェーブが流れる。
「まっ、現代人じゃからな」
先生は、もう年寄りなので、どちらかというと昭和人なのかもしれない。
「あの人、本当に教師なのか?」
「さぁ……」
健太は、吉行の質問に、そう答えるしかなかった。
「うぉっほん!では気を取り直して、相沢かなえさん。お願いします」
「はい」
さらっとした金髪をなびかせながら、きれいな声で返事をした。
「ええっと、私の名前は相沢かなえです」
男子生徒はみんなかなえの方向を向き、すこし和んでいる。
男子だけには限らず、そのあまりの美しさに女子生徒までもが和んでいる。
ただ、吉行だけは、興味なさそうにして、
「ふぁ~あ」
あくびまで出すという始末。
「もうちょっと真面目に聞きなよ」
ちなみに、かなえの席は、窓側の1番前。
吉行は窓側から2列目の3番目。その後ろに健太がいる。
美奈は、廊下側から2番目の一番前辺りだ。
「へいへい」
吉行は、健太にそう言われてやっと集中し始めた。
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