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--なんだ、この女。
私を忘れてる。それを意味する言葉よりも、
その吐き捨てるような言い方に。
私を威嚇するようなしゃべり方に、私は耳を疑った。
「知らねぇよ、お前なんか。ちょっと、離してくんない?」
「あ………」
「なんだよ。」
「…………」
ごめんなさい、と謝って、無意識に掴んでいた腕を離した。
目を細めて、彼は私を見つめてる。
一瞬--
苦く目を伏せたのは、気のせいなのだろうか?
「ふん………」
彼はすぐ鼻で笑って、身を翻した。
「朝から逆ナンなんて、どんだけ男欲しいんだよ、寒いヤツ。」
かっと頬に朱が滲んだ。
こんなこと、けいちゃんは言わない。
面影はあのこに、似ているけど別人だ。
泣き虫で甘ったれの、あのこはこんなことは言わない。
それとも、本人なのか?
立ち去る背中に、咄嗟に声を張り上げた。
「忘れちゃったの!?」
彼は返事をしなかった…
これが私と、彼らの、最初の再開だった。
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