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男はひとしきり笑った後、金を置いて目の前から去った。
いつもなら金を財布に入れて、早々に出て行く所なのに、今回はそうしなかった。
夢が、脳に引っかかったからだ。
空を飛ぶこと、忘れかけていた、自分の夢。
成長するにつれ、叶うわけないと思っていた、自分の夢。
先生に叶うといいねと言われた、自分の、夢。
( ^ω^)「先生…僕の夢は、叶うかお?」
ぽつりと零した言葉に、先生が返してくれた気がした。
ゆっくりと立ち上がり、建物の屋上に向かう。
あぁ、何て狭い空だろう。
だけれど、十分な空だ。
( ^ω^)「先生、見ててくれお」
空を見上げ、そう伝え、コンクリートを蹴った。
ああ、飛べた。
僕は、飛べたんだ。
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