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淋しがりやの君に。
『淋しいよ』
電話口で呟く君の元にゆけたならどんなに良いだろう。
そうしたら僕は君の隣で、君の耳元で、君は一人じゃないことを教えることができるのに。
だけどそれはできないんだ、ってこともわかってる。
だから、電話の向こうにいる君を想うんだ。
『…空を見てみてよ』
少しでも君に安心してほしくて、考えた。
君はきっと不思議そうな顔つきで窓を開けているのだろう。
『月…』
しばらくして、君の声が聞こえたのを確認してから、僕も君へ声を届けた。
『こっちも月がよく見える。…綺麗な満月だよね』
『本当だね…』
僕らは今、同じ空を共有しているんだよ。
君の見ている世界の何処に僕はいて、僕の見ている世界の何処に君はいる。
ほら、一人じゃないだろう?
どんなに離れていても、結局生きている世界は同じ。
『夏目漱石は、ある英文を"月が綺麗ですね"って訳したんだ』
その英文は、今君に伝えたい気持ちにぴったり。
『その文はね---…』
I LOVE YOU .
ずっとずっと、僕は君を愛してる。
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