61人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんででないの?」
「あっごめん風呂入ってて・・・和恵?」
「・・いて聞いて」
声のトーンがいつもにまして真剣でした。
「和恵だよね?」
そんな私の疑問を遮るように。
「出るの!!」
聞き覚えのある声の主は言いました。
「和恵じゃないの?」
「風呂」
!?
「うっうん」
「そこから出るの」
突然またもザーザーと雑音が入り始めました。
「どうして?」
声の主はその質問に答える事なく、電話は切れました。
気持ち悪くなって風呂からはすぐに上がりました。
着替え終わったのを見計らったように再び着信が鳴ります。
恐る恐る携帯を取った私は、すぐには着信を取らず、着信履歴を見ました。
そこには、有り得ない番号が。
私の携帯番号でした。
呼び出し音は唐突に切れほっとしたのもつかの間、携帯から声が。
「遅かったはね」
聞き覚えのある声。
なんで!?
ふっと部屋の隅を見ると、私が体育座りして携帯に耳を当ててこちらを見ています。
最初のコメントを投稿しよう!