孵化

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こいつはしゃべる、それを認識した辰は、感動したようで、そいつと俺にこう言った。 「こいつしゃべる! 喋るぞ!」 かなり感動しているようで、後は歓喜を俺の部屋に広げていた。するとそいつが俺にこう言った。 「とにかく、あなたなんですね。その杖に選ばれたのは」 俺はそれを聞くと、おそるおそるこう聞いた。 「あ…、さっきもそんなこと言ってたような…」 すると辰は、俺の背中をたたきながらこう言った。 「ほら、もっとハキハキしゃべろ」 俺はそう言われても、ハキハキはしゃべれない。そう内心に思った。するとそいつが俺に言った。 「えぇ、その杖は劉の杖って言って、寺山 東海林(てらやま しょうじ)さんという紋章師が作りました」 すると辰がこう言った。 「紋章師?」 「いわゆる魔術師みたいなものです。紋章を専門に使うので、紋章師と」 俺には意味が分からない。 「なんでこの杖、俺が起きたときにあったの? こんなの昨日は無かったけど…」 するとそいつが俺に向かってこう言った。 「だから、あなたは選ばれたんです! その杖に。だからこれからあなたは、東海林さんが作った紋章を集めなければなりません」 やはり俺は話についていけない。そう思うと、そいつにこう言った。 「それじゃぁ、俺は折角だけど降りようかな」 「それは出来ません」 そいつはまたもや間髪入れずにそう言った。そして俺にこう続けた。 「あなたが東海林さんに選ばれたのは、あなたが少なからずマナを持っているからです!」 「マナって、ゲームで出てくるあれか?」 辰がそいつにそう聞いた。するとそいつはうなずきながらこう言った。 「はい、そのマナです」 俺は話についていけない。 「とりあえず、これで何しろって?」 するとそいつは俺にこう言った。 「まずは一番必要な六つの紋章を、その杖に封印してもらいます。火、風、水、土、そして光と闇です。ほかにもいろいろありますが、まずはそこからです。ちなみにそれには、もう火の紋章が入っています」 「それ、やらなきゃいけないの?」 俺は渋々そいつに聞いた。するとそいつはこう言った。 「はい」 でも、嫌では無かった。それどころか、内心はそんなおもしろいことが、俺に来てくれてうれしいとまで思っていた。
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