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「しょうがないな…」
俺はそう言うと、そいつにこう聞いた。
「これの使い方を教えてくれるかな。後君の名前も」
するとそいつは、杖を指差した。そして俺にこう言った。
「まずその杖を前につきだしてください」
俺はぎこちなく、杖を前に突きだしてこう言った。
「こう?」
するとそいつは頷いた。そして続けてこう言った。
「そして、使いたい紋章を思い浮かべるんです。そしてその紋章の名前を言うんです」
俺はそこでそいつにストップをかけた。
「ちょっとまった、俺その紋章知らないし、名前も知らないよ」
するとそいつは少しだけため息をする。そして俺にこう言った。
「その杖を持っていれば、何とか分かると思うんですけど…」
俺はそうなの…、と弱々しく言うと、そいつにこう言った。
「分かった。目はつぶった方がいい?」
すると辰がこう言った。
「つぶった方が雰囲気いいぞ。カメラにはぴったりだな」
そして何処から取り出したのか、一眼のカメラを構えていた。俺はそれを聞くと、少しだけ苦笑いをした。するとそいつもこう言った。
「目をつぶった方が、確かにイメージしやすいでしょう」
そう言うと、俺にさぁさぁと言わんばかりの視線を送った。俺は少しだけため息をつくと、目をつぶった。
そこに見えたのは、殺風景な世界のようだ。ほとんど真っ暗な中に何かが輝いている。それはよく見ると、杖の先に付いている三角形を二つ重ねたような模様。名前は、フレア。何故か頭の中にその名前が浮かんだ。俺はそれを思い浮かべると、目を開けた。そしてこう言った。
「フレア!」
何も起こらなかった。
「あれ…」
俺はそう言うと、カメラを構えていた辰がこう言った。
「お前期待させといて何なんだよ」
するとそいつが、何かを思い出したような顔をして俺にこう言った。
「あ! すみません言い忘れてたことがあります。使う前にマナを杖に込めなきゃいけないんでした」
そいつは自分の頭を自分で軽くごついた。
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