孵化

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「マナを込めるってどうやって込めるの?」 俺はそいつに聞いた。するとそいつは少しだけうなると、俺にこう言った。 「何かこう…、気合いを杖に込めるみたいな感じです」 「意味分からないな」 辰が俺の代わりにそう言った。俺はそれを聞くと、少しため息をついたがこう言った。 「やってみるよ」 そう言うと、再び俺は目を閉じて、フレアを想像した。そして杖に、気合いを込める。その時だ。 俺の体と杖が、何かでつながったような感覚がした。ほんの少しだが、確かにその感覚を感じた。俺はそう思うと目を開いた。見ると足下には若干だが光を放っている魔法陣が、杖の先にはフレアの紋章が。 「おぉ…」 辰はそう言いながら、俺の方にレンズを向けていた。俺は内心、自分がしているこの現象に感激した。するとそいつがこう言った。 「名前です! 名前を言うんです!」 カシャカシャとカメラがなる音も気にとめず、俺はその模様を見つめた。これが俺の力、そう思うと胸が躍った。 「フレア!」 瞬間 その紋章から火が踊るように現れた。そしてその火は小さいながら俺の思うとおりに動いた。俺は自分の周りに火を踊らせた。 「すげー…」 辰はぼそっとそうつぶやいた。俺はその声に集中を切らし、マナを送るのをやめてしまった。その瞬間に魔法陣と紋章と、俺の火が消えた。 「あれ…」 俺は間抜けにそう言った。するとそいつがこう言った。 「そんな感じです。それでほかの紋章を束縛して、その杖に封印するんです。それで早速でなんなんですが」 今もう風の紋章の気配が近いです。 そうそいつは言った。
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