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俺はその竜巻に杖を向け、マナを杖に送った。瞬間だった。
その竜巻はそれに気づいたのか、俺たちの方に素早く近づいてきた。
「うわ!」
俺はそう言うと、集中を切らした。そして横に素早くよけた。二人もうまく避けられたようで、そいつは飛びながら、辰はシャッターを押しながら位置を移動していた。
「やばいな…」
俺はそう言うと、竜巻と自分の間をあけた。そして再びマナを送ろうとする。そしてそれを関知したのかのように、俺の方に竜巻が押し寄せてくる。
「うわー!」
俺は間抜けな声をしながら屋上を逃げ回った。しかし竜巻は俺に迫ってくる。間隔を広げようにも俺のスタミナがもたない。そしてついにスタミナが切れたか、何もないところで派手に転んだ。
「うわ…」
俺は一巻の終わりかと思った。竜巻に迫られ、俺は危機状態だった。そしてそんなときだ。
火柱が、あらぬ方向から伸びてきた。すると竜巻は火柱が伸びている方向に遠ざかる。俺は驚き、その火柱が伸びてきたと思われる方向に視線を移した。
そこには、そいつがいた。
「大丈夫ですか?」
そう言っている間にも、辰はシャッターを素早く切っている。俺はそいつにこう言った。
「うん…ありがとう」
瞬間
竜巻がそいつの方にいきなり迫ってきた。自分を攻撃したからだろうか、俺はそう考えた。すると逃げているそいつは俺にこう言った。
「僕がおとりになります。その間にこの竜巻を!」
それを聞くと、俺ははっとなった。こいつは俺のために囮になってくれている。そしてそれを完全に把握すると、俺はこう言った。
「うん!」
そして素早く杖にマナを送ると、さっき初めて覚えた紋章を頭に浮かべ、素早くこう言った。
「フレア!!」
瞬間
さっきよりも勇ましい炎が、その紋章の周りに現れた。そしてその紋章が、さっきとは少し違うことに気がついた。
フレアの紋章の周りに、五芒星が描かれていたのだ。
「あれ…」
俺はそうつぶやくと、カシャカシャとシャッターを着る音にはっとなった。
今は風を封印しなければ。そう思うと俺は小さな竜巻の方に杖を向けた。すると俺の炎もその竜巻に向かった。そして炎が竜巻を完璧に覆うと、俺はその炎に向かってこう言った。
「魔の風よ、紋章師の名の下、汝を封印する」
瞬間、フレアの紋章は消え、今度は六芒星が現れた。
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