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壇上にいる校長を見て、ふと思った。
小学生にはピカピカの一年生という言葉がある。それでは中学一年の場合は何なのだろうか。俺はふと、始業式にそんなことを考えてしまった。それはあまりにも校長の話がつまらなくては、それでいて長すぎて完結しないからだろうか。俺は思わず校長の話を聞いていてあくびをした。
意外と長く感じたはずの始業式は、意外と短かったような記憶がある。確か三十分くらいだっただろうか。始業式のしおりにはそのくらいだったと思うのだが、俺はそれよりも長く感じた。少なくとも三倍くらいは長いと思えるほどに。
実質短いからなのか、あまり肩を凝らずにすんだ。俺はそう思うと、中一の教室である四階へと足を急がせた。その時だ。
「優翔(ゆうと)~」
俺の名前を口ずさんだ人物がいた。その人物は滝沢 辰(たきざわ とき)と言って、俺と同じ母校の友人だ。俺は辰を見てこう言った。
「やぁ、辰じゃないか。確かクラス同じだったよね」
辰は歩きながら首を縦に振った。俺はそれを見ると、辰にこう言った。
「と言うことはCだよね。同じって言うことは」
俺はそう言うと、辰は俺にこう言った。
「当たり前だ、同じクラスなんだから。優翔ついに壊れたのか?」
「壊れないよ、そう簡単には」
俺は笑いながらそう言うと、Cと書かれたプレートがかかっているクラスに入った。意外と普通のクラスのようで、俺は少しだけがっかりした。
始業式のガイダンスはそんなに時間がかからなかった。だから俺は辰と一緒に、どこかファーストフード店にでも行こうと思っている。
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