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その日は別に夢を見たわけではない。特に何もない普通の眠りだったのだが、これは一体どういう事だろうか。俺は布団から体を起こすと、そのすぐ横には見慣れない細長い物があった。それは真っ赤な色をしていて、先に三角形の中身を小さな三角形でくり抜いたような物がついていた。軽く光沢を放っているそれを見て、俺は思わずこうつぶやいた。
「なんだこれ…」
俺はそう言いながらそれにふれた。
瞬間
それから赤いまばゆい光が発し、自分自身さえも見えなくなるのではと言うくらいの光度が俺の目を襲った。そして俺はそれを思わず手を離した。しかしそれは空中に留まっているかのように浮いていた。俺はそれを見ると思わず立ち上がった。そしてそれを見ていると、自分の足下にまた違う物が浮き出ていた。
「何なんだ…」
俺はそうつぶやくと、恐る恐るそれに手を近づける。そしてそれのしっかりふれると、まばゆい光はいつの間にか消え、残るのは足下の光だけとなった。しかし足下の光は普通の物とは違い、何かの幾何学模様をしていた。まるでそれは魔法陣だ、俺はそう思った。そしてその魔法陣とも言える模様がさらに光ると、その中央に五光星が現れる。そしてその中に丸い球体が現れていくことに俺は気がついた。いや、正確には完璧な球体ではない。楕円とも言えないが、いわゆる卵形だ。そして光がおさまり、その幾何学模様が光らなくなると、その卵形の物だけ残った。
「なんだ…」
俺は呆然とそう言うと、その卵形の物を見つめた。
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