親友と退屈な日々の終わり

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朝、その道に多くの学生が歩いている。 その数を増やしながら進むその中に、その2人はいた。 「お前、まだ誰とも話してないのかよ。 もう入学して1ヶ月だぞ!?」 背の高い少年が漕ぐ自転車に、自分の自転車を併走させる小柄な少年、『上原 輝』は驚きを隠そうとしない。 「別に興味無いし」 目を前に向けたまま、上原の話し相手である『夜霧 慎哉』は短く答えた。 「か~~、出たよ『興味ないし』。 お前、格好つけてるのかもしんないけど、それじゃあただの根暗だぞ。 せっかく顔も良いのに前髪で見えねえし。 女子にモテないぞ」 反応が薄くてもお構いなし。 一方的に見えても知ったこっちゃ無い。 輝にとっては日常なのだから、これでいいのだ。 「……別に興味無い」 こう返ってくるのも、当然彼には分かっていた。 だからこそ、輝はすぐさま次の言葉を口に出す。 「仕方無い。 今日の放課後、俺の部活が終わるまで待ってろ。 俺が友達紹介してやるからよ」 「……興「じゃあな、放課後、ちゃんと待ってろよ」……聞けよ」 その名の通りハイテンションな親友、輝に置いてけぼりをくらった慎哉。 そんな理由で遅刻もしてられないので、彼は気が乗らないままペダルを回し続けた。
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