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それから姉貴の車にムリヤリ詰め込まれた。
そして着いた場所は…
「やっと着いたわ♪
高級レストラン♪グランディー!!!」
ものすごく高そうなレストラン。
「え?姉貴、おごってくれンの?」
俺のよどんでいた瞳がほんの少し輝いた。
「姉貴じゃなくてお姉ちゃん!!」
「お、お姉ちゃん…
そろそろ何でこんなカッコさせたのか教えろよ!!!」
こんな恥ずかしいカッコで出かけるのだ。
女装する理由くらい聞かせてくれても良いと思う。
「…理由聞いて帰るとか言わない?」
「言わないから。」
「あ、あのね…
実は…
涙をね?
合コンに
女のコとして
参加させようと思って♪」
「は?」
「えとね、
今日、合コンなくるはずだった私の友ダチが急に来れなくなって…
で女のコ側の席が一個空いちゃッたから涙チャンの手を借りようかと…」
「帰る!!!」
「帰るって言わないって約束したでしょ!?」
「ムリ!!!帰る!!!」
絶対ムリだ!!
女のふりして合コンなんて!!!
「大丈夫よ!!
絶対バレないわ!!
それにこの合コンだけははずせないの!!」
「そういう問題じゃ―」
キィィィ―…
俺の声を遮るように車なブレーキ音。
そして俺と姉貴の前で止まると中から数人の大学生らしき男が出てきて姉貴に話しかけた。
「あ、栞チャン♪
もう来てたんだ♪」
「え?あ、うん!!
今来たところ」
「そっか
お?そっちの隣にいるのは例の妹?」
例の妹!?
「うん!!そうなの♪
これが妹の涙」
「すいません。
俺…じゃなくて私、帰ります。」
即答して反対方向を向いて歩き出すと、姉貴に肩を捕まれる。
「るい!!
頼むから話し合わせてよ!!」
「…。」
そのまま無視して歩き続ける。
「わかった!!
話し合わせてくれたら、今度、ゴージーコーナーのケーキ食べ放題連れてくから!!」
ゴージーのケーキ…
いや!!負けるな涙!!
お前はそんなに安い男じゃないだろ!?
「今なら高野のタルトもつける!!」
そんなに安い男じゃ…
「パステラのプリン!!」
……。
俺はゆっくり足を止めた。
「る…るいちゃん?
」
「藤屋のシュークリームも」
「もちろん♪」
俺は…
どうやらそこそこに安い男らしい…
*
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