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俺は、優さんほどとはいかなかったがそこそこに自然に横に座った。
「あ、あの…」
「…」
返事はなかったが、慧さんはこちらを向いてくれた。
「よかったら一緒に飲みませんか?」
「あぁ…」
幸村 慧。
優さん並のモテルックスの持ち主のようだが、ストイックというか、無愛想というか、俺からしたら絡みにくい。
「……。」
「……ι」
どうしよう会話が…
無い。
その頃姉貴はというと、こんな俺の状況など知らず、向こうでメアド交換中。
慧さんは慧さんで、黙々とオレンジジュースを――…
てオレンジジュース!?
「ぷッ…」
「な…なんだいきなり」
「いえ、慧さん…
こんなにストイックなのにオレンジジュースなんて…可愛いです!!
あははは…はは…は…
あ…」
「…。」
うわ…黙っちゃった…
怒らせたかな…
「すいません…
怒りました…よね?」
「…いや…
怒ってはない…が…
初めて言われたから…」
「初めて…ですか?」
「だいたいの女は、俺が酒飲めないの知ると離れて行くからな…
誉められたのは初めてだ」
今の誉めたつもりはないんだけどな…
でも、どうしてだろう?
さっきまでの話しにくさはどこかに行ったみたいだ…
「な…なんだ
あんまり見るな//」
あれ?
もしかして照れてる?
「あははッ
やっぱり慧さんは可愛いです!!」
「…さっきから思ってたんだが、男に可愛いは誉め言葉か?」
「誉め言葉じゃ…ないですね。」
「それじゃあ
誉められたと喜んでしまった俺は…バカみたいだな。」
少し照れたように微笑む慧さんは、どこか可愛い…
「バカみたいです」
つられたように、俺も笑ってみせる。
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