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プロローグ
天地開闢において生まれた神、イザナミとイザナギは夫婦でした。
二人は日本国土を形作る森羅万象の神々を産み、イザナミはやがて火の神カグヅチを産みます。
しかしその時、陰部に負った火傷が原因でイザナミは命を落としてしまいます。
死の間際、彼女はイザナギに約束を求めます。絶対に逢いに来ないで下さい、と。
しかしイザナギは愛しさから約束を破り、黄泉国に逢いに行ってしまいました。
けれどもそこに居たのは腐敗した醜いイザナミでした。
恥をかかされたと大いに怒ったイザナミは、恐怖で逃げるイザナギを追い掛けます。
やがて黄泉比良坂(よもつひらさか)まで辿り着いたイザナギは大岩で黄泉国の入り口を塞ぎました。
それが『道反の大神<チガエシノオオカミ>』です。
「お前の国の人間を一日千人殺してやる」
イザナミがそう言うと、
「それならば私は、一日一五〇〇の産屋を建てよう」とイザナギは言い返します。
その後、会えなくなった二人は離縁し、やがてイザナミは黄泉国の主宰神となり、黄泉津大神と呼ばれるようになりました。
そして今も彼女は黄泉国にて、道反の大神の封印が解けるのを待ち続けているのです。
――そう、イザナギの国の人間を殺す為に。
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