第1話 絶望と腹痛の果て

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今日は一人暮らし二ヶ月目だ。今私はトイレと言う名の密室の中にいる。慣れた手つきでいつものようにあれとあれを脱ぎ下ろし雑誌を読みながら第1ラウンドを迎えていた。二日ぶりの戦いで多少長引いてしまったがなんとかこの丸みを帯びたふざけた裂け目との最終曲面を迎えることができそうだ。いつものように壁際に待機しているはずの彼に手を伸ばす。 「あれっ!」。 一緒凍り付いた、私の手の中にあるのは縦10センチ横20センチにも満たない程の彼の変わり果てた姿だった。そして無情にも終わりを告げるかのような茶色い筒がそこには残されていた。彼との出会いは一週間前、まだ彼がの白いロールケーキのような時だった。 彼との、別れを悲しみつつ私はこの憎き丸みの裂け目との決着をつけるために、彼の仲間に助けを求め彼らの寝室にふと手を伸ばす。 「うそっ!」。 私の声が密室に充満した臭いとともにこだまする。 彼らの姿は何処にもなかった。 あるのはエリ〇ールと書かれた亡きがらだけだった。私は二ヶ月目にして負けてしまったのだ。 この後のことは言うまでもない。
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