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は!そ、それでって…
橘はまだ何かを待っている。
「なんか忘れてない?」
その言葉にハっとする。
今の私は好きって言うことにエネルギーを使いすぎてそんなことすっかり忘れてしまっていた。
「いいでしょもう!」
と半ギレで言葉を返す。
恥ずかしくてそんなことできるわけない。
だいたいなんで私からしなくちゃ…
「あれ?やっぱ襲われたいんだ」
―――!
だめだ…
こいつに何言っても逃げられる気がしない。
「わっわかったから………
……目、閉じてよ」
私の言うとおり、橘はゆっくりと目を閉じる。
その隙に逃げてやろうかとも考えたけど、どうしたことか気づいたときには目の前に橘の顔があってそのまま―――…
「………」
何秒
何分
何十分
どれくらいそうしてたのかわからない。
そのくらい頭がぼんやりしていた。
確かなのは今私の目の前にいるのは橘で、その橘に私はキスをしているということ。
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