序。

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だが、親父は兄貴を可愛がっている。と言うより、兄貴は俺と違って問題を起こしたりしないからな。剣道の腕前はもちろんのこと、頭脳明晰・品行方正。まさに非の打ち所がない。それに比べて、俺はトラブルばっかり起こしているからな。つい先日も、稽古に来ていた修行生のねーちゃんに手を出そうとして、運悪く親父に見つかり大目玉を食らったところだ。別にただかわいいから声をかけただけ立ってなのに、何をそんなに怒り出すのか、俺には皆目検討がつかない。「道場の品位を汚すつもりか!」と親父はよく口にするが、そんなことで汚れる品位など大したことない。……なんて常日頃の行いの最中に、あの、桃太郎の凱旋だ。口うるさく言う親父から半勘当・半家出で今こうしているってわけだ。
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