翌日…

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翌日…

昨日の内に、何だかんだで勧誘の格好は決まった、殆ど霧島沙耶は放置され隙を持て余しており、黒澤奈緒美の「インパクトある格好」はことごとく綾崎に却下された…綾崎加奈が取り仕切った結果として、オカルト研究部っぽくて一番無難な格好が決定した。 学校内の勧誘活動なのだから、制服は基本的に外せない、だから制服から儀式用のマントを羽織り、手にはスタッフを持つ…これは黒澤奈緒美の格好だが、意外にバッチリと決まった、女子高生兼魔術師のイメージを見事に噛み合わせた姿である。 ただマントもスタッフも、無関係な人間の目に晒すので、使った後は「目垢」を落とす為に浄化しなくてはならない、魔術品は多くの人間の「視線」によって伝わってくる「疑念」「邪念」によって汚れてしまうからだ、その汚れた思いによって魔術品は、霊的に汚れてしまい、本来の力を発揮しにくくなってしまう…だから魔術師の仲間内に限定し、魔術とは無関係な人間には見せないのである。 ちなみに綾崎加奈が羽織る、儀式用マントは「インペレーター」と呼ばれる緋色のマントで、「火」を表したマント…火と峻厳の長衣、本来は白い法衣の上に纏うのだが、今は下は制服。 続いて黒澤奈緒美が羽織る儀式用マントは「ハイエルース」と呼ばれる黒の長衣だ、見たままの意味で「闇」の象徴である、ハイエルースはクリフォト(悪の樹)と境を接し、物質に宿り座したる闇の復讐神を表す。 『部長、なんか本当に邪悪っぽいんですけど;』 漆黒のマントを制服の上に纏い、手には予備のスタッフを持っているが、あまりに似合いすぎて二の次の言葉が無い。 『綾崎さん、つまりそれは…私が普段から「邪悪」と仰りたいのですか?』 振り向き様、長い黒髪がサラサラと横に流れながら、マントの後ろへと落ちる…顔には満面の笑み。
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