次の策

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霧島沙耶は無意識にテーブルに置かれた、チューリップの束に目を向けていた、本人としては考えるのを止めたつもりだが、本能的な好奇心がチューリップをどうやって頭に付けていたのか…その疑問に対する興味を断ち切れなかったのだ。 先ほど黒澤の頭…髪の毛に埋まっていた部位を、特に見てみると小さい丸い板のような物が付いていた、残念ながらそれは向こう側…霧島沙耶に向けられた先はチューリップの「花」の方、あいにく丸い板みたいなのは黒澤奈緒美の方に向けられている、しかもチューリップの葉(造花)もあるので、束ねられている造花の葉が四方に飛び出した状態…なので視界を遮られ、葉と葉の隙間から確認出来たくらいであった。 しかし少なくとも、さっき密かに霧島沙耶の脳内で想像されていた、先端が鋭角に尖っているチューリップの造花を、ブスブスと頭に突き刺していた訳でない事はハッキリした… (当たり前だよね;うん、そんなのする訳ないよ…だったら今頃は黒澤さんの頭が血塗れだし) 有り得ないが仮にそんな事をしていたら、突き刺した状態じゃなく、チューリップを引き抜いた時に出血が多くなる…つまり今頃は黒澤奈緒美の頭から、ダラダラと血が流れ落ちて顔が真っ赤だろうし、腰まで届く美しい黒髪に致まで血が伝い床に血がポタポタ…であろう。 『制服の上には、儀式用のマントがあったじゃない?あれを羽織るだけで十分にオーケーだと思うよ部長?』 『うーん…インパクトが足りない気がしますが…』 『この山羊の頭の被り物だけは、絶対に却下です!』 などと、霧島沙耶を放置して黒澤奈緒美と綾崎加奈は、話を進めていた… (私…ここに居る意味が無かったりしない?;) こうして、霧島沙耶の放課後は潰されてしまうのであった…。
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