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『いいの?まあ…あたしとしても、確かに人手があるのは助かるんだけど』
普通なら帰っても文句は言われない、何せ無理矢理に連れてこられたのだ、むしろ怒るのが通常の反応かもしれないが、霧島沙耶は人並みより温和な所があるので、滅多に本気で怒らない。
『うん、いつも黒澤さんには助けてもらってるし…なんだか部活の勧誘ってのも、面白そうかなって』
『うーん…ならいいけどさ』
霧島沙耶のお人好し加減に首をかしげながらも、本人が良いならと一応納得する。
『お待たせしました、こちらを着ようかと考えてはいるんですけど、どうでしょうか?』
…と、会話の区切りの良い所を狙ったかのようなタイミングで、机の方に戻ってきたららしい黒澤奈緒美が声をかけてきた。
霧島と綾崎は、黒澤の方へと顔を向けて、テーブルに並べられた物に視線を向けた…
『な…なんですかこれ∑;』
『却下!却下!!こんなの被って現れたら、絶対に誰も近寄ってこない!』
霧島沙耶の驚愕の声と、綾崎の否定する叫び声が部室内に響いた。
『∑!?え…ダ…ダメですか?…でも…』
『「でも」も減ったくれもないです!無理!これは無理!』
黒澤奈緒美が何かを言い掛けたが、綾崎加奈はそれを全力で否定しながら、テーブルに並べられた「物」へ、鋭く右手の人差し指を「びしぃぃっ!」と突き出した。
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