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次の策
さっきよりも大分まともそうな提案に、霧島沙耶と綾崎加奈は安心した、これで少なくとも今後…オカルト研究部員と言うだけで学校中から「山羊の頭の被り物をした怪しい連中」だと、白い目で見られずに済む。
『格好が普通なのは個人的にも助かるけど「何か」って、つまりはどんなのを?』
『はい、それなんですが…ちょっと今、取りに行ってきますね』
そう言うと黒澤奈緒美は、また席を立って、棚の方へと歩いていった。
『はぁ~…一時はどうなるかと思ったよ』
『うん、さすがに「山羊の頭の被り物」はハードルが高すぎるよね』
綾崎加奈の言葉に頷きながら、霧島沙耶は机に並ぶ品々…特に紅色のローブを見た、彼女は初級魔術を学び始めてから一年近くになる、師に当たる男友達・木村翔にローブについて説明を受けた事はあったが、あまり必要性を感じなかったので自作していないし、もちろん木村翔も持っていなかった。
ローブは基本的に「魔術師の鎧」である、黒地の布で出来た服は、悪霊に憑かれるのを防護するだけでは無く、ある種の低次魔術による呪詛すらも防ぐ程の魔術品だ、もちろん配色による象徴だけで悪霊や呪詛を防げる訳ではない、きちんと聖別されていてこそ霊的防御力を持つ。
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