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しばらく、二人の言い争いを見守ってはいたが、全くもって終わる気配がない。むしろ悪化する一方だ。
仕方がない。そう思って、近くにいた楠原の肩をポンと叩く。
「っ!!…な、なんや、会長?」
びっくぅと大袈裟に肩を跳ねさせてから、こちらを振り返った楠原の体をニッコリと笑いながら反転させる。
「なぁ、楠原。」
俺が名前を呼ぶと、何を思ったのかすごい勢いで目を逸らす楠原。
そんな楠原に、俺は満面の笑みを浮かべる。
「お前、めちゃくちゃ慎介のこと好きだよな?」
「うっ、えぇっとー。」
「好き、だったよな?」
言い訳を考えさせる暇など与えず追求すれば、楠原は「お、おぅ。」と、吃りながらも頷いた。
そのことで、俺はさらに笑みを浮かべ、
「じゃあ、あいつらを止めてこい。」
力いっぱい楠原を慎介たちのほうへと押してやった。
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