第二章

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「……………」 「……………」 「……………」 俺が押したことによって、楠原は見事に慎介と七尾の間に吹っ飛んだ。 それによって、静まり返った空間。 「………直紀、邪魔だ。」 「………楠原くん、どいてくれる?」 しかし、それも一瞬で、楠原はあっという間に二人の視界から追い出されていた。 「ウチのガラスのハートがボロボロや。」 そう言いながらグズグズと鼻を啜って、こちらに帰ってきた楠原。 そんな楠原にとどめを打つように「この役立たず。」と言い捨ててやった。 くそっ、まじめんどい。 ガシガシと頭を掻いてから、静かに二人……… いや、七尾のほうへ歩きだす。 そして、 「………昇。」 囁くような声で、甘く七尾を名前を呼んだ。
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