存在

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パタン…     俺は静かに玄関のドアを閉める。   だけど意味はなかったらしい…      『戒!?』   勢いよく俺の元に走ってくる母親、これも見慣れた光景だ。       『遅かったじゃない、怪我してるわ…誰がこんなひどい事…』    殴られた場所をさする母さん…    『いいから、もう疲れたから寝るよ』   今は夜中の3時…普通起きてるか?寝てろよ…     『だめっ!すぐに手当しなきゃ…明日は病院に…口の中は切ったの?戒…戒……痛いでしょ?可哀想に…』     『いいからって!病院に行くほど大したことじゃない』     俺は母さんの手を振りほどき自分の部屋に向かう       『携帯はどうしたの?連絡はちゃんとして、でなきゃ携帯止めるわ』     それは困る…結花とも連絡が取れない       『わかったよ、母さんももう寝ろよ…』     『絶対よ?約束だからね?』     俺は母さんを無視して階段を上り、自分の部屋に入った。       パタン…カチャ     ドアのカギを閉めて俺はベッドにドサッと倒れ込む       『ッ…はぁ~早く卒業してぇ…』     母さんから解放されたい、束縛されたくない…   自由じゃない生活なんてつまらない       ♪~…♪~     ふと携帯のメール受信音がなった。     『結花かな?』   そんな事を思い画面にうつる相手を見る       母さん…?          〈お休みなさい戒〉         〈お休み〉       適当にメールを打ち返しベッドに潜り込む…     『まじ勘弁してくれよ……』       異常なまでに息子を心配する母親…   あの人は…俺を1人の男として見ている。   自分で生んだ子に恋をするってどうなんだ?   気持ち悪い…      
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