俺と妹と第三者の、第七回頭脳大戦~グラタン物語~

4/19
前へ
/21ページ
次へ
『最初は疑問点を挙げていこう。静が何をしたいのかを徹底的に暴く』 『まず、第一の疑問だ。静は俺が暑がりだと知っている。それなのに、何故掛け布団を掛けた? この十年で、俺が風邪なんぞにやられる軟弱な野郎ではないと知ってる筈だ』 『第二の疑問に、うちの階段はよく響く。足音で誰か判別出来るくらいだ。なのに、静は俺を見て、関をきったかのように慌て出した』 『第三の疑問が、プッシュボタンに指を掛けていたにも関わらず、電話機を置いた事だ。更に、去年の誕生日に買ってあげた筈の携帯電話を使わなかった事も疑問だ』 『第四の疑問は、何故朝から熱すぎるトマトグラタンなのか、だ。俺が猫舌なのは重々承知の筈。確かに、料理自体は簡単だが、熱くしすぎている』 『第五の疑問、これは言うまでもなく電話の相手だ。友人と言っていたが、あの慌てようは彼氏だと、経験則に基づき進言する』 『第六の疑問、コンビニだと言って出掛けた事だ。わざわざコンビニに行くのにあんな服装をするか? 普段はワンピース一丁で家を彷徨く静が? いや、確かに女子はちょっと外に出掛けるだけでも気合いを入れるが、普段ならば外に行くときも上下ジャージだった静だぞ?』 『第七の疑問。今日から俺と静は三連休に突入する。そして、妹の友人から金にモノを言わせて彼氏が出来た事は聞き出している。三連休も彼氏彼女が何もしないと思うか?』
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加