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「車で行った方が速くないっすか?」
天恵を受けた。眼から鱗、棚からぼた餅、文殊の知恵だった。
「春香、お前天才!」
思わず詰め寄ってしまった。春香は少し顔を赤くして、狼狽えている。おっと、いけないいけない。急がなければ
身体を反転。急いで通ってきた道を遡る。
「あっ、お兄さん」
ぐえぇ! 本日二度目。俺の前世は蛙だったんじゃないだろうか。
振り返ってみると、またもや春香が俺の襟首を掴んでいた。あっ、すみません。と謝罪されては怒れない。
「私も連れてってくれません? 最近、静に警戒されちゃったぽくて、あんまり情報が入ってこないんですよ。先程の情報も静の友人から聞き出したものですし」
上目遣いで春香が訪ねて来た。考える。真意は? 目的は? 理由は? 果たして信用出来るのか?
不自然じゃないくらいの考察をし、俺は頷いた。
「分かった。情報を真偽を確かめたいんだな?」
「えぇ、まぁ。いちお、お金もらってるんで」
「よし、なら急ぐぞ。静は電車だから時間がかかる筈だ。先回りする」
「了解っす」
二人で街を駆け出し、車を取りに行く。結構な速度で走っているが、春香は普通についてくる。不健康そうなのは外見だけで、身体能力は高いのかもしれない。
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