第二章 想─姫君

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中々手出し出来ずに、暫しの時が流れた…。 娘は未だ気を失っている。 出来れば娘が気を失っている内に、全てを終えたいと考えていた。 そんな時、娘が意識を取り戻して暴れはじめ、焦った鵺は城を抜け城下へ、娘両共逃げて行った。 「追うぞ!!銀次郎とやら。」 銀次郎は深津の襟を捕まえ、勢いよく飛び降りた。 「んぎゃはぁぁぁっ。」   誰もが寝静まる城下町─ 暗闇の奥底から娘の叫び声が聞こえる。 深津と銀次郎は走った。 そして、鵺の隙をついて銀次郎が娘を助け、抱きかかえながら深津の元に戻った。 娘は顔を赤らめながら、伏せ気味に銀次郎に言葉を掛ける。 「あの……ありがとうございました。」 そんな娘を見た銀次郎も、顔を伏せ気味に言葉を返した。 「…礼には及ばん、未だ終わった訳ではないからな。」 娘は更に顔を伏せ、口を閉ざした。 鵺が勢いよく踏み込んで、深津に襲い掛って来た。 タッ。 「グオゥゥゥゥ!!!」 直ぐに刀で受け止めるが、徐々に圧されて行く。
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