第二章 想─姫君

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そこに、銀次郎が助けに入り、鵺の額を斬りつけた。 「くぅっ…。」 ズバッ。 「オノレェェェッ!!!」 「深津大丈夫か?」 息を切らしながら、深津が言葉を返す。 「ん…だ、大丈夫だ。」 一足遅れて半助が合流し、深津と銀次郎は一斉に刀を構えた。 鵺も威嚇体勢に入る。 バッ。 銀次郎が先に前に出て、宙に舞った。 続けて深津が踏み込んだ。 タッ。 銀次郎と深津が一斉に鵺に斬りかかる。 ザンッ。 ズバッ。 辺りに血しぶきが散る。 ブシャァァァッ…。 血を噴き出しながら鵺が叫ぶ。 「キサマモヨウカイデアリナガラ、カトウナニンゲンナゾトテヲクミヨッテ…ユルサン、ユルサンゾ。」 鋭くとがった爪を銀次郎めがけて振り下ろす。 銀次郎は逃げも防ぎもせずに、その場に立ち尽くし、鵺の攻撃を受けたが、左頬を霞める程度だった。 「…フンッ、この程度か?」 銀次郎の挑発に更に鵺は激怒し、狂った様に暴れだした。 「グルルルゥ…オノレッ、オノレェッ!!!」 深津が一気に踏み込んで、鵺の左腕を斬り落とした。 タッ。 ザンムッ。 「ヌオオオオッ!?ニンゲンゴトキガ、ワレノウデヲキリオトスナド…オモイシレニンゲンメ、ワレヲオコラセタコト、コウカイスルガイイ!!」
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