第一章 幻─接触

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向こう岸からギッコラオッコラと麗次郎が漕ぐ船が見えてきた。 客はどうやら、花ノ絵町の殿方の様だ。 殿方が麗次郎にブツクサと漏らす。 「ウヌは最近の巷での噂知ってるのだろ?この河にも出没する妖がおるらしいが、大丈夫であろうな?」 心配する殿方に、麗次郎がとびきりの笑みを浮かべて言葉を返す。 「まぁまぁ…そう心配なさらないで!もしもの時は私がどうにか致します故。」 殿方は顔を悲痛に歪ませながら、黙り込んだ。 「…………。」 暫く進んで行くと、河底に何やら影が現れ、船に沿って着いてくる。 殿方は未だ気付いてはいないが、影に気づいた麗次郎は目線をそこへ運んだ。 すると、河底から球体状の物が顔を覗かせた。   次の瞬間、河から勢いよくそれは飛び出した…。 ザバッ。 「っ!?」 頭に皿状の物がありおかっぱで、手足に水掻き、口元は大きな嘴姿のそれはまさしく河童。 船が大きく揺れる。 グラグラ…。 異変を察した殿方が声を張り上げて叫ぶ。 「なっ…何じゃ?何が起きた?」 麗次郎は冷静に殿方に現状を伝える。 「すみません…仙田殿、妖が現れました。」 殿方が慌てふためきながら叫ぶ。 「なっ…なっ…何じゃとっ!?であえであえいっ!!」 しかし、殿方の雇った武士の者は腰を抜か
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