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ある程度までは癒えたものの、未だ痛々しさが残る。
「大体こんなものか…。」
白狐達がクスクスと一斉に笑い、銀次郎の一睨みでピタリと収まる。
半助が刀を構え、白狐達に向かって行く。
白狐達はブルブル震えて怯える。
そして、一斉に逃げ惑う。
だが、半助はまるでゴルフ玉を打つが如く、刀を一匹の白狐に向け叩き付け、思い切り振り上げ、白狐一匹の胴体を切断した。
スゥ…。
グバァッ。
仲間を殺られた白狐達が哀しげに『コーン…。』と一鳴き。
銀次郎が声を張り上げて叫んだ。
「半助下がれぇぇぇぇっ!!!」
次の瞬間、九尾含む白狐達が皆で韻を切り始めたのだ。
段々と韻の輪が大きく拡がっていく。
半助は銀次郎の後方に、大幅に下がった。
「銀次郎…一体次は何が来ると言うのだ?」
緊迫した表情を浮かべながら、銀次郎が言う。
「……とてつもなく大きな業だ…俺でも防ぎ切れる自信はない。」
半助の額を汗が伝い、半助はゴクリと息を飲んだ。
「…そ、それは危ないのでは…?」
銀次郎が続ける。
「あの併せ韻は黄泉火だ…あの火に巻かれれば、一気に命を黄泉の国へ送られる。」
半助は腰の力が抜け、後ろに手をつくようにして、座り込んだ。
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