第三章 疑─九尾狐

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顔を覗き込むと、静にゆっくりと瞳を開け、半助を見た。 半助が歓喜の言葉をあげる。 「おおっ、良かった!気がついたようだな。」 麗次郎は両手をついて起きた。 半助が麗次郎に手を差し述べる。 半助の手をとりながら麗次郎は言った。 「力を全て持っていかれた…暫くは夜叉にはなれぬ、次に黄泉火を受ければ本当に命を持っていかれるだろう…先ず白狐を始末しよう、半助。」 それを聞いて半助は愕然とした。 麗次郎は続ける。 「大きな業は暫くは出せないだろうから、殺るなら今だ!!」 二人共焦りの色を見せつつも、刀を持ち構えた。 「麗次郎…どう出る?」 「私は左から、半助は右から攻めてくれ!!」 二人は白狐に向かって駆け出した。 また白狐達は逃げ惑い始める。 それにも関わらず、一匹ずつ確実に仕留めていった。 ズガッ。 「先ず一匹。」 ズガズガッ。 「二匹、三匹。」 麗次郎も半助も快調に数を減らしていき、残るは九尾狐ただ一匹になった。 もう白狐との併せ業を使うことは出来ない、が、未だ油断は出来ない。
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