第三章 疑─九尾狐

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ブゥゥゥゥン。 ドガッ。 「っ…ま、未々ぁ…。」 麗次郎は振り払われてもまた、直ぐに向かっていく。 そんな時、何処からともなく小太刀が飛んで来て、九尾狐の右前足に刺さった。 「一体誰が…。」 半助が、先程入ってきた鳥居の上に視線を向けると、そこには金色の瞳と白髪の青年が四ん這いで座っていた。 「おう銀!!随分やられてんじゃねぇか、手ぇ貸してやろうか?」 その懐かしい声に、麗次郎は思わず声を出す。 「その声にその口調…しかも、私を銀と言うやつは一人しか居らん、犬神の銀狼太か!!」 半助が麗次郎に訪うてきた。 「し…知り合いかい?」 その訪いに、麗次郎は直ぐに応えた。 「迎えに行こうとしていた古くからの友人さ!!」 半助は目を真ん丸くして、銀狼太を見て言った。 「古くからの友人とは妖だったのか…。」 銀狼太が鳥居の上から勢いよく飛び下りてきた。 「宜しくな、人間。」 半助に手を差し出して満面の笑みを浮かべながら言った。 半助は握手を交しながら言う。 「僕は人間と言う名ではなく、菅半助と言います、宜しく。」
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