第三章 疑─九尾狐

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ふらつきながら歩く麗次郎に、銀狼太と半助が手を貸し、三人一緒に鳥居を通り抜けた。   先にはまた山路が続いていて、木木の間からは長らく人が住んで居ないであろう、町が覗ける。 麗次郎が呟き漏らす。 「ここへ来るのは何年ぶりだろう?…懐かしい。」 懐かしむ麗次郎へ銀狼太が言う。 「しかし、その姿じゃ親父様にどやされやしねぇか?」 麗次郎は軽く後退りをして、ガックリと凹んだ。 「も、も、もう少しすれば、力が戻る…と思う…だから、言うな!!」 そんな麗次郎をみて、半助と銀狼太はクスクスと笑った。 三人はゆっくり歩き出した。 「麗次郎の父方か…どんな方なのだ?」 麗次郎は渋々話し始めた。 「……頑固で…怒ると恐ろしく怖い。」 半助は一瞬ピタッと立ち止まり、また歩き出した。 銀狼太が言う。 「半助、親父様含め里のやつらは皆妖だから、気絶すんじゃねぇぞ!!」 それを聞いて、半助はまたピタッと立ち止まる。 一寸ずつ、麗次郎の傷が治ってきた。 「…そろそろ、力が戻って来たか…。」 麗次郎が掌を上に向けて、気を溜め始めた。 ヒュオォォォ…。 段々と掌の上で気が大きくなっていく。
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