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ふらつきながら歩く麗次郎に、銀狼太と半助が手を貸し、三人一緒に鳥居を通り抜けた。
先にはまた山路が続いていて、木木の間からは長らく人が住んで居ないであろう、町が覗ける。
麗次郎が呟き漏らす。
「ここへ来るのは何年ぶりだろう?…懐かしい。」
懐かしむ麗次郎へ銀狼太が言う。
「しかし、その姿じゃ親父様にどやされやしねぇか?」
麗次郎は軽く後退りをして、ガックリと凹んだ。
「も、も、もう少しすれば、力が戻る…と思う…だから、言うな!!」
そんな麗次郎をみて、半助と銀狼太はクスクスと笑った。
三人はゆっくり歩き出した。
「麗次郎の父方か…どんな方なのだ?」
麗次郎は渋々話し始めた。
「……頑固で…怒ると恐ろしく怖い。」
半助は一瞬ピタッと立ち止まり、また歩き出した。
銀狼太が言う。
「半助、親父様含め里のやつらは皆妖だから、気絶すんじゃねぇぞ!!」
それを聞いて、半助はまたピタッと立ち止まる。
一寸ずつ、麗次郎の傷が治ってきた。
「…そろそろ、力が戻って来たか…。」
麗次郎が掌を上に向けて、気を溜め始めた。
ヒュオォォォ…。
段々と掌の上で気が大きくなっていく。
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