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溜った気を腹部の傷口へ当て、傷を癒すと麗次郎は銀次郎へと変わった。
「ふぅ…やっとこの姿に戻れたな。」
銀狼太が銀次郎に声を掛ける。
「銀はやっぱその方がかっけぇぜ!」
二人の夜叉に挟まれ半助は小さくなって歩いていた。
「半助、そう心配するな…里の者共はお前をとって喰らったりはせぬ。」
半助はへっぴり腰になりながら歩いて行った。
「度胸のねぇ人間だな、半助は…銀はよくあんなの連れて歩いてんな、そんなだからお前が痛い目見んだよ。」
銀次郎はその言葉に、直ぐ言い返した。
「…半助は俺の親友だから、唯一人間の…だから、多少過酷であっても、俺は耐えてみせるさ。」
半助は銀次郎のその言葉を聞いて、立ち止まり下唇を噛み溢れそうな涙を堪えた。
「銀…わかったよ!んで…俺を迎えにと言ってたが、何か用か?」
銀次郎は花ノ絵町でのことを話した。
「っと言う事なんだ、頼まれてくれぬか?」
半助も深深と頭を下げた。
銀狼太は暫し口を閉ざした後、承知した。
「……そこまで頼まれちゃしょうがねぇ、人間の為に一肌脱ごうじゃねぇの!!」
三人は手を重ねあった。
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