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妖の里が近付いてきた頃、里の方から一匹の三毛猫が歩いてきた。
そして、銀次郎の肩へ飛び乗った。
半助が物珍しそうに猫を見ながら言う。
「妖も人の様に生き物を飼っているのだな?」
銀次郎と銀狼太がクスクスと笑い、銀次郎が話し出す。
「猫股…俺の親友の半助だ!ちゃんと挨拶してやれ!!」
三毛猫は銀次郎の肩から下りると、半助の目の前で猫股に変化した。
「初めまして人間のお方、私は銀次郎の許嫁のお沙耶にございます…宜しくお願い申し上げます。」
銀次郎は焦りながら言う。
「お沙耶、いつお前が俺の許嫁になったんだ?」
お沙耶が笑いながら、銀次郎と半助に言った。
「エヘヘ、ごめん、冗談だからね。」
半助は目を点にして佇んでいた。
銀次郎は猫に戻ったお沙耶を肩に乗せ、皆は里へ向かった。
里に入ると、妖一同が出迎えてくれていた。
「若、おかえりなさい。」
里の奥では、ドッシリと構える、妖の殿方の様な銀髪の夜叉がいた。
「親父、ただいま…。」
そこに居る夜叉が、銀次郎の父その人であった。
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