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銀次郎は半助を引っ張り起こしてやった。
妖一同が何やらざわつき始めた。
あれやこれやと何かの支度を始めたのだ。
「何やら騒がしくなったな?」
半助の言葉に銀次郎が応える。
「恐らく、里帰の宴の準備だろう…半助の歓迎も含めてな。」
次第に半助の表情が和らいで、肩の力も抜けていった。
「父方殿の名は?」
半助は銀次郎の親父に訪ねた。
すると、親父は快く応えてくれた。
「儂の名か?儂の名は夜叉丸だ!そう言うお前は何と言う?」
半助が名を告げようと口を開いた瞬間だった。
「菅半助と言うのだそうだ。」
と、我先に銀狼太が応えた。
半助は苦笑しながら、コクリと頷いた。
「半助か、うちの木偶の坊を宜しくな!」
更に引きつった笑顔で半助は言った。
「は…はい、勿論ですとも。」
宴の準備が調い、てんやわんやの大騒ぎが始まった。
笛の音、太鼓、琵琶、三味線、踊れや歌えやと大層楽し気である。
半助も浮かれて踊り出す。
銀次郎も愛用の古笛を左の袖元から取り出し、軽快に吹き鳴らす。
夜は始まったばかりだ…
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