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半助は仕方なさそうに、床についた。
翌朝─
半助が目を覚まし、着替えて外に出ると、銀次郎の姿が見当たらないことに気づき、側にいた銀狼太に訪うた。
「銀次郎が居らぬ様だが、銀狼太殿は銀次郎が何処へ行ったか存じておるか?」
すると、銀狼太は柔らかな表情で応えた。
「あぁ、銀か?銀なら出発前に母親の墓参りに行くと出掛けたぞ。」
半助はこっそりと、銀次郎の母について訪ねてみた。
「ちと聞くが…銀次郎の母方はどんな人だったのだ?」
半助がそう訪ねると、後ろの方から夜叉丸が話をしながらやって来た。
「何を話してたぁ?……銀次郎の母を知りたいだぁ?…………あの女もお前の様な人間でな…。」
また夜叉丸の昔話が始まった。
「(人間!?)」
半助は銀次郎の母もまた、人であることに驚きを隠せずにいた。
「名は雛滋椿…それは美しい女だった、やつは儂が鬼であるにも関わらず、心を開いてくれてな、いつしか愛し合う仲になっていた。」
長々と、話は続いた。
「…ある日のことだ…銀次郎が産まれ、いつもの様に幸せに暮らしていたそんな時、災難は起きた…。」
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