第三章 疑─九尾狐

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夜叉丸は重々しく話し、表情は沈んだ。 「幼い銀次郎の上から、熱い湯の入った茶碗が落ち、椿は銀次郎をかばって、代わりに左目周辺に重度の火傷を負ってしまってな…。」 半助は頷きながら漏らす。 「そんなことが…。」 夜叉丸の話は未だ続いた。 「儂に醜い顔を見せたくなかったのだろう…泣き叫びながら、儂の目を小太刀で刺し、光、色、形を奪った…だが、儂は椿の思いをわかっていた故、何もなかった様に過ごした。」 半助は涙を堪えきれずに、いつの間にか静に泣いていた。 「それで目を…ヒグッ。」 半助が泣いて居ると、墓参りより帰った銀次郎が、半助の顔を覗きながら声を掛けた。 「何故半助は泣いて居る?…まさか、俺が居らんかったことを…」 銀狼太がすかさず言った。 「違うってぇの!!」 夜叉丸は半助の涙の理由を話した。 「お前のガキの頃の話をしたのよ、俺が目をなくした理由もな…。」 それを聞いた銀次郎は、半助の肩に手を優しく掛け、穏やかな表情を浮かばせながら言った。 「優しいやつだな…半助は。」
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