第一章 幻─接触

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「あ…ちょっ…(話したって…一体何を?)」   討伐隊本部─本部内に入ると部屋には仙田正次、深津雪雅と並んで腰を下ろして居た。 深津が待っていたと言わんばかりに、麗次郎に声を掛けてきた。 「おっ!?来たか…。」 麗次郎が気まずそうに訪う。 「深津殿、私に何か?」 深津は不思議そうに麗次郎を見ながら言った。 「ん?確かお前はこの町の渡し船の船頭をしている麗次郎ではないか?半助の話によると、お前は妖をも退ける力があるんだとか…。」 暫しの沈黙の後、苦笑を浮かばせながら麗次郎は話し出した。 「……はぁ…どうなのでしょう?私とて只の人、その様な力…私なぞにありましょうや?」 深く頷きながら、深津は麗次郎に聞いた。 「…しかし、半助が嘘を申すとは思えぬしな、のぅ麗次郎、どうだ?我が妖怪討伐部隊で働いてみぬか?」 麗次郎は一瞬、返す言葉を失った。 「…!?……私が、部隊にですか?」 急な申し出に、動揺を隠せず齷齪する麗次郎に、深津は更に言葉を突き出した。 「出来れば…今宵より手を貸して欲しい。」 麗次郎は断る術なく、首を縦に下ろし承知した。 「…はい、わかりました!では、今宵よりお力添い致しましょう。」 一先ず交渉は成立し皆安堵した。
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