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「あ…ちょっ…(話したって…一体何を?)」
討伐隊本部─本部内に入ると部屋には仙田正次、深津雪雅と並んで腰を下ろして居た。
深津が待っていたと言わんばかりに、麗次郎に声を掛けてきた。
「おっ!?来たか…。」
麗次郎が気まずそうに訪う。
「深津殿、私に何か?」
深津は不思議そうに麗次郎を見ながら言った。
「ん?確かお前はこの町の渡し船の船頭をしている麗次郎ではないか?半助の話によると、お前は妖をも退ける力があるんだとか…。」
暫しの沈黙の後、苦笑を浮かばせながら麗次郎は話し出した。
「……はぁ…どうなのでしょう?私とて只の人、その様な力…私なぞにありましょうや?」
深く頷きながら、深津は麗次郎に聞いた。
「…しかし、半助が嘘を申すとは思えぬしな、のぅ麗次郎、どうだ?我が妖怪討伐部隊で働いてみぬか?」
麗次郎は一瞬、返す言葉を失った。
「…!?……私が、部隊にですか?」
急な申し出に、動揺を隠せず齷齪する麗次郎に、深津は更に言葉を突き出した。
「出来れば…今宵より手を貸して欲しい。」
麗次郎は断る術なく、首を縦に下ろし承知した。
「…はい、わかりました!では、今宵よりお力添い致しましょう。」
一先ず交渉は成立し皆安堵した。
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