「八尺様」

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春休みに入ったばかりのことだ。 いい天気に誘われて、じいちゃんの家にバイクで行った。 まだ寒かったけど、縁側はぽかぽかと気持ち良く、そこで暫く、くつろいでた。 そしたら 「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ…」 と、変な音が聞こえてきた。 機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。 濁音とも半濁音とも取れる、そんな音だった。 何だろうと思っていると、庭の生垣の上に、麦わら帽子があるのを見付けた。 生垣の上に置いてあった訳じゃない。 だって、麦わら帽子は横に移動したんだから。 垣根の切れ目まで来ると 女性が一人、見えた。 麦わら帽子はその女性が被っていた訳だ。 女性は、白っぽいワンピースを着ていた。 でも、生垣の高さは2m位ある。 その生垣から頭を出せていたとなると、女性はかなり、いや、とてもでかかった。 驚いていたら、女性はスーッと移動して視界から消えた。 勿論、帽子も消えている。 また、いつの間にか 「ぽぽぽ」 という音も、なくなっていた。 その時は 元々背が高い女が超厚底ブーツを履いていたか、 踵の高い靴を履いた背の高い男が女装してたとか、 その程度の事にしか思えなかったんだ。
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