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じいちゃんは電話を終えたのか、戻って来ると
「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰す訳には行かなくなった」
そこには、いつもの優しいじいちゃんの顔はない。
―何かとんでもなく悪い事をしてしまったのだろうか。
必死に考えたが、何も思い当たらない。
そもそも、あの女は俺から見に行った訳じゃなく、あっちから現れたっていうのに。
そして
「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」
と言い残し、軽トラックで何処かへ出かけて行った。
ばあちゃんに恐る恐る尋ねると
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる、何も心配しなくていいから」
と、震えた声で言った。
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまで
震えたままの声で、ぽつりぽつりと、話してくれたんだ。
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