9591人が本棚に入れています
本棚に追加
/754ページ
ギュゴォォォオン!!
それにより、ビルは巨大な爆砕音が街中に響き渡る。
「この……化け物が……!!」
思わず、ティークは苦虫を噛んだような表情を浮かべる。
なぜならティークの視線の先。
その先には鬼心がいた。
漆黒に染まった純白のデスサイズを片手に、背に白銀の翼を生やした状態で、常人なら窒息でもしてしまうんじゃないかと思うくらいの重い殺気を放ちながら、ティークを睨みつけ空中に静止していた。
――"左腕左足を無くした状態で"。
「いくら吸血鬼だからって、痛ぇモンは痛ぇんだよ……」
凍てつくような冷たい瞳で睨みつけながら、鬼心は呟く。
そして、鬼心は漆黒に染まった大鎌をゆっくりと水平に構える。
「次――お前が能力を使ったら殺す」
「次――お前が動いたら殺す」
「次――お前が喋ったら殺す」
「次――お前が瞬きしたら殺す」
「次――お前が呼吸をしたら殺す」
重みのある、冷たく体の芯まで染み込むような言葉。
それはまるで洗脳しているかのように、脳に直接伝わり、まるで催眠をかけられているかのように、自然に脳に響く。
その言葉に、ティークの瞬きが、心臓が、呼吸が、血流までもが一瞬停止する。
「自惚れんなよ?テメェは弱い。他の鴉に比べて――ずっとな。欠点があんだよ、テメェには。《白い鴉》に所属してる奴ァ無欠でなきゃならねェ。だがテメェはそれのにも関わらず、あんだよなァ……欠点が」
「雑魚ェんだよ――――テメェは」
直後、東京のど真ん中に大きな斬れ目が生まれた。
最初のコメントを投稿しよう!