хⅣх~最後の夏は~

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  由鬼と手を繋いで歩き初めてから十分、二十分くらい経った頃だろうか。 ただ何気なく歩いていると、ふと前方に何かを囲むように人が集まっていた。 変だと思い、気配を探ってみると、その中心には普通とは違う、特殊な気配を纏った集団がいるのが感じられた。 間違いない――アイツらだ。 どうやら由鬼もそれを察したらしく、俺達は足を止めて見合わせる。 「お兄様。ここで一つ私から提案があります」 提案? もしかして悪巧みかなんかか? 「お兄様、実は今日のお祭りの目玉である花火が後十分程で打ち上げられるのです」 「それで?」 「――私達のことはもう大丈夫です。ですから、今すぐお近くの神社へ行って下さい」 由鬼はそう言うと、俺から手を離す。 「……にーにー!今日は本当にありがとっ!私、とっ~ても楽しかった!また……来れたらいいな」 由鬼は笑顔でそう言うと、人が異様に集まった場所の中心――家族がいる場所へと向かった走っていった。 「何だ急に……?それに神社に急いで行けだって?」 やっぱり何か企んでんのか? 「でもま……由鬼がだんだん昔のようにになってきてるのは嬉しいことだな」 俺は、俺に背を向けて走る由鬼を見送ると、由鬼に言われた通り、神社へと向かうことにした。  
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