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「それ……本当なの?」
「マジマジ」
「もはや犯罪の領域ね……」
存在自体が法外だからな。
「でも上手かっただろ?流石は年上の女って感じで」
「まぁ……上手いのは認めるわよ」
鳳月はそう言うと、袖から携帯を取り出し、時間を確認して袖にしまった。
――忘れてた。
そういえばそろそろ花火が上がるんだったな。
「なぁ鳳月」
「何よ?」
「三秒くらい目、つぶってくんない?」
「何でよ?」
「お前を愛してるから」
「気持ちわ――」
鳳月の言葉を遮り、俺は素早く鳳月を俺の胸に抱き寄せ視界を閉ざし、それと同時に俺の真後ろに歪みを出現させ、俺は鳳月を抱き寄せたまま倒れるように歪みの中へ入っていった。
「きゃっ!?」
現れた先は俺の秘密の穴場。
俺は鳳月を抱えたまま視界の開けた山の側面の草の上に、背中から倒れ込んだ。
突然のことに、鳳月は可愛らしく声を上げる。
「と~ちゃ~く。ちなみに移動手段は企業秘密だから聞くなよ?」
俺はそう言い、抱き寄せていた鳳月を離してやる。
俺から離れた鳳月は一瞬戸惑っているようにも見えたが、すぐに諦めたように俺の横へ仰向けに寝転がった。
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