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「ごめん」
謝ること――
「本当に、ごめん」
それしか出来ない。
「何が『ごめん』よ……私が求めてるのはそんなことじゃないのよ……!」
涙を拭いながら、鳳月は訴えているかのように言う。
「…………少し、話したいことがある。ちょっと付き合ってくれないか?」
鳳月は、ちょっと驚いたような顔をした。
だが、少し俯いたあと、コクンと小さく頷いた。
「ありがとう」
俺は立ち上がり、鳳月に手を差し出し、鳳月は俺の手を取って立ち上がる。
その後、俺は歪みを出して、鳳月と一緒にその中に入った。
◇
コイツに連れられて来たのは、どこか見覚えのある、小さい公園だった。
滑り台があって、ブランコがあって、砂場があって、シーソーがあって、ジャングルジムがあって、ベンチがある、一般的な公園。
子供の頃、私と同じくらいの子達が楽しそうに遊んでいるのを、車の窓から羨ましく見ていたのを思い出す。
「そこのベンチに座ろうか」
コイツはそう言うと、私の手を引き、すぐそこにあったベンチに私を座らせ、私の横にコイツは座った。
「何でこんなところに来たのよ?」
そう私が聞くと、コイツは少し鼻で笑ったような顔をした。
ムカつく。
「まぁ聞いてくれよ、俺の話」
コイツはそう言うと、何かを思い出すように、遠くを見詰めて口を開いた。
「ここ――俺が恋人を殺した場所なんだ」
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