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――え?
いま、何て……?
「この公園の忘れもしない"この場所"で……この手――いや、この歯この牙で"殺した"んだ」
この……場所……?
「アンタいきなり何言っ――」
「黙って聞いてくれ。お願いだ」
私の言葉を遮ったコイツ。
コイツの顔を見てみると、悲しそうな表情を浮かべ、少し目が潤んでいるように見える。
それを見て、私は思わず口を閉ざしてしまった。
「まぁ……詳細は省かしてくれ。結構辛い思い出だからさ……?」
体が僅かに震えている。
今からどういう話をして、どうしてそのことを私なんかに話すのかは分からないけど。
けど、私はそっとコイツの手を握ってあげた。
「――まぁ俺さ、大好きだったんだ、その恋人。お前も姿だけなら去年の修学旅行で行ったヴァチカンで見ただろ?金髪金眼、水色ドレスの綺麗な女」
あの時の人が?
でも確かあれは『世界最悪の《女王》』だって燐が……
いや、違うわよ。
あの女の人はの正体は、本当はコイツだったはずよ……?
どういうこと?
「その人が俺の恋人だった人で……俺が殺した人。俺がヴァンパイヤ――吸血鬼だってんのは知ってるよな?その性質みたいなもんも……琳堂がどうせ全部バラしただろうからな」
確かに、燐からコイツ――吸血鬼っていうモノは教えてもらった。
どういうイキモノで、どれほどのバケモノなのかを。
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