хⅤх~水の王女(プリンセス)~

2/28
9592人が本棚に入れています
本棚に追加
/754ページ
鳳月の前から消え、能力を使って移動した先は、極寒の北極(ていうか年中極寒)だ。 あえて国名を言うなら、グリーンランド。 日本との時差の関係により、今ここはだいたい朝7時過ぎぐらい。 つまり明るい。 また日光が雪に反射して、結構眩しい。 まぁそんなことはともかく、ここが今回の対戦場所なんだよね。 つっても、随分と予定が崩れた為、二時間くらい早めに来ちゃったんだかな。 でもま、相手の方は俺よりも早く来ていたみたいだがな。 「おっすーシン。随分と早いじゃねーの。それに何だよそのカッコー。もしかしてそれがジャパニーズのセントースタイルだったりすんのー?」 しまった……ついうっかりしてジンベイ着たまま来ちまった。 「ちげえっつーの。これはただの正装だ。つかラナの方が早ぇじゃんかよ」 ラナ――本名セイラーナ・S・ミュムール。 《水の王女》と呼ばれし、水を自由自在に操る《白い鴉》の《0№Ⅵ》だ。 旧友であり、戦友であり、恩人でもある、《鴉》所属時代の俺の唯一の友達だった奴。 お互い手の内を知り尽くした仲だ。 「いやシン。それがドレスじゃねーことぐらい私様は知ってるつーの。つかシン。勘違いすんじゃねーぜ?誰が愛しい愛しい旧親友に会いてーからって、泊まり込みで昨日からこんなクソさみーとこにいるかよ。私様は時差のことを忘れてたまたま早く来ちまっただけだっつーの」  
/754ページ

最初のコメントを投稿しよう!