王との謁見

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 人生、何が起きるか分からない。  馬車の揺れに身を任せながら、アディルはしみじみとそう思う。  三枚の鉄扉を通らなければ出ることの出来ない牢に、アディルは二年いた。  釈放されるまでにはまだ一年あったのだが、看守の「釈放だ」の一言で訳の分からぬまま牢から出されたアディルは、看守に連れられまず風呂場に直行。  二年の間に溜まりに溜まった汚れを洗い流すのは一苦労で、擦っても擦っても垢が出てくるのには驚いた。  風呂を出ると真新しい服が用意されていて、有り難くそれを着る。
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