プロローグ

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 敬は梓にそう言われるとどうしても反応に困ってしまう。  誉めたにも拘わらず難しい顔をする敬に梓が苦笑した。 「この俺が誉めてんだからちったぁ笑えよな? お前、最近反応鈍いぜ?」 「……そうですか?」 「さぁ?」 「……いい加減、思い付きで喋らないで下さい。全く……あなたと言う人は……」  敬が呆れると梓はケタケタと愉快そうに笑う。  いつまでも振り回される自分にも敬は気分を滅入らせた。 「いよいよ俺達も三年か……。最後の一年、頑張ろうな」 「大方のことを頑張っているのは私であることをお忘れなく」 「心配すんな、今年はそれなりに働くさ。最後だしな……」  最後―――ひしひしと迫り来る別れに感傷的になるのはまだ早いのだろうか……?  ただ、一つ言えることがあるとすれば、人生を左右する運命が近付いていることくらいだ。
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